食品業界に棲む日々

「食品業界のつながりをデザインする」というミッションで食品業界向けのサービスを展開している株式会社リンクアンドシェアの代表の中間秀悟です。

食品の商品開発 〜フェリシモさんとの開発を通じて学んだこと〜

f:id:LINKANDSHARE:20180610152314j:plain

 

今日は食品の商品開発について書きたい。

 

僕らが今とても力を入れているイチヨンマーケットは、商品を陳列販売したい店舗の棚の好きな場所に商品を並べて販売できるサービス。

 

販売してみると分かるのだが、やはり売れる商品と売れない商品が出てくる。

とても残酷な結果が出てしまうのだが現実はこうなので仕方がない。

 

現実を受け入れてからが僕は勝負だと思っている。

売れない商品は「手に取ってもらう仕掛け」がないということなのだと思う。

 

通販会社「フェリシモ」さんとの商品開発で学んだこと

 

僕は前職でPB・OEM商品の開発を10年近くやってきて、数えた事はないが、数百商品の商品開発を行ってきた。

 

僕がかなり長い間一緒に商品開発をさせてもらったフェリシモさんの話を今日は書きたいと思う。

 

数十個の企画に携わらせてもらって、一時は食品の企画の7割くらいは僕が開発させて頂いていた時期もあった。

 

フェリシモさんによって僕は商品開発について多くの事を学んだ。

 

商品開発の残酷さ、本当のユーザー目線とは何か、商品がユーザーを「しあわせ」にすること、商品開発で考えるべき要素について。。。

 

www.felissimo.co.jp

 

フェリシモさんの担当になってすぐのこと。

 

コラーゲンのドリンクが爆発的に流行し出した頃に、すぐにフェリシモさんの担当者にコラーゲンの企画を持っていった。

 

30代〜40代の女性ユーザーが多いことからコラーゲンの商品は、当時の僕からしたらピッタリの良い企画だと思って鼻を膨らませて持っていった。

 

「これはフェリシモがやる商品じゃないですね」

 

商談時間わずか5分。

いやほぼ秒殺だった。

 
「何歳の人が何曜日の何時に誰とどんな気持ちでそれを食べて、食べた後にどんな気持ちになるのかが言えない商品をフェリシモはやらないんです」

と言われた。

 

今言われてみるとペルソナマーケティングと言われているものがこれにあたるのだが、そんな座学で学んだことではなくて、全ての社員の人に染み付いている思想のようなものだと言うことが分かり、目全体が鱗になったのではと思うほどにウロコが落ちまくったのを覚えている。

 

通販会社がよくやる頒布会形式では、フェリシモさんの場合は12回セットであれば12ヶ月後にユーザーが1年前と違う成長した姿になっていて欲しいという想いが込められている。

 

エスコヤマさんとフェリシモさんが企画した「パティシエレッスン」という商品開発をやらせて頂いたのだが、12ヶ月小山さんのお菓子の作り方レッスンが書いてある冊子が届いて実践しながらお菓子作りを学んでいくというストーリーになっていた。

 

www.felissimo.co.jp

 

後にも先にも僕はこんな素晴らしい会社に出会ったことがない。

「ともにしあわせになるしあわせ」が彼らの中核価値で、それが商品開発だけではなく取引先との取り組みや従業員全体に行き渡っている。

 

「ともにしあわせになるしあわせ」

 

商品やサービスは誰かの困っていることを解決したり、誰かが食べたときにしあわせな気持ちになる為に存在すると思っているし、そうでなければ受け入れられることはなく消えてゆくのみだ。

 

食品を安く売るということは、日常生活で生活費をそんなに出せない方たちに対してしあわせを提供する一つの手段だが、価格を安く出来ない商品であれば食べた時に消費者の方がどんな気持ちになって欲しいかについてもっともっと深く真摯に向き合わなければならないのだと思う。

 

僕らはどうしても製造側の事情で商品開発を行ってしまうことが多い。

この原材料が手に入ったから

この機械が稼働していないから

これを作ると補助金をもらえるから。。。

 

「こちら側がだけがしあわせになる事情」で開発した商品が売れるとは思えない。

 

「この商品はあなたをきっとしあわせにします」というメッセージが決まったらパッケージや商品名でわかりやすいようにプレゼンテーションすれば必ず商品を買ってくれるということを実践を通じて学んだ。

 

あなたの商品は誰かをしあわせにしますか? 

 

僕らのサービスも一緒だと自戒の念を込めて。