食品業界に棲む日々

「食品業界のつながりをデザインする」というミッションで食品業界向けのサービスを展開している株式会社リンクアンドシェアの代表の中間秀悟です。

2017年も食品業界に棲む日々です。

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あけましておめでとうございます。

 

2017年が始まりました。

昨年は今まで出会ったことがない方にお会いできて

本当に色々な事業の話をして素晴らしい1年でした。

 

その出会いを通じて自分たちの事業についてしっかり定義ができた

1年だったし、福岡にオフィスを構えて九州の製造工場数百社にアクセス

しながら日本の食の現状、彼らが考えていること、問題点、痛みについて

聞き、観察し、腹落ちするまで理解ができた年でもありました。

 

 

食品業界の現代の流通の仕組みの基礎が江戸時代にできたこと、

士農工商という制度が現代へ及ぼす強い影響に驚き、

身分制度という意味合いではなく、「俺作る人、あなた売る人」という職能分離)

江戸時代の商業やお金の仕組みなどの本を読み漁りました。

 

これは本当に良かった!

 

日本独特の「問屋」がなぜ出来たのか?

大阪がなぜ「天下の台所」と言われたのか?

家康がなぜ豊臣家を滅ぼそうとしたのか?

現代の地方創生がなぜうまくいかないのか?

 

などなど事業のヒントになるお宝がザクザク出てきました。

 

 

色々と定義し、理解ができたと同時に、

僕らのクラウドフードを含めたサービスが

基本的な考え方は合っているものの課題解決や価値提供を行うには

プロダクトとして少しずれていたということも分かってきて冷や汗も出てきました。

 

クラウドフードをリリースした1年半前の自分に教えてあげたい!

「それ違うって!!」って言ってあげたい!!

 

と言っていても無駄なことなので。

 

今年の2月、3月、4月に3回に分けて新しいサービスの追加、

新しい機能の追加を含めた大規模なリニューアルを行います。

 

買い手と製造工場のニーズを踏まえて、

ボヤッとした何となくのマッチングではなくて

「ここだろ!」という1点に絞り込めたはず!と今は思っています。

 

定義が出来たからといって事業がうまく行くわけではない、

定義した後はそれを分かりやすくプロダクトに落とし込んで

表現しなければなりません。

 

正直、僕が苦手ではないがミスしがちなところなので

社内のスタッフや外部の協力して頂ける方々、

何よりユーザーの声を聞きながらアップデートさせ続けたいと思います。

 

色々と考えすぎて、今年の初めから仲間に

「一人の世界に入り込んでいる時、話しかけづらい。。。」という

手痛いパンチももらいました。

 

「何が悪いねん!」という開き直りが50%、

素直に反省も50%しながら強く素直に今年も明るく頑張ります。

 

来年の今頃もきちんとブログを更新しながら

「去年の俺に教えてあげたい!」と言えるような成長ある1年に。

 

2017年食品業界に棲む日々スタートです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そもそも君の思い出

予備校時代に「そもそも君」と呼ばれている人がいた。

 

「先生、それはそもそも〇〇じゃないですか?」

「そもそも、その説明だと〇〇になりませんか?」

 

などと発言に「そもそも」という言葉を使うのが癖で

何となく僕らは遠巻きにいつも彼を眺めていた。

 

彼はとても真面目な学生で、休み時間に遊んでいた僕らとは違い、

常にテキストを広げて勉強をしていた。

 

最近、自分の事業や食品業界のことを考える時に、

「そもそも買い手のニーズって何だっけ?」とか

「そもそも製造工場って単純に売上が伸びればいいと考えてるのかなあ」とか

「そもそも問屋っていつの時代から存在するんだろ?」とか

僕ら自体が「そもそも」を連発していて、ふいに彼をことを思い出した。

 

僕らが事業を考える時に「そもそも」は魔法の言葉だ。

 

目の前にあって、もつれ合っている糸をほどこうとしている時、

その解決の糸口を教えてくれることがある。

 

「そもそも買い手のニーズって何だっけ?」という問いに対しては、

通販やスーパーや給食や外食などのニーズを事細かに書き出して検証を行う。

 

通販はオリジナル食品の製造依頼が多い。

スーパーは他社で売れた実績がある商品が採用になることが多い。

給食は国産原料のニーズが高い。

外食は専門性が高くなっていて、他が扱っていない商材へのニーズが高い傾向にある。

 

などなど。

 

買い手のニーズは、業態や地域などによってバラバラだが、

「差別化」というキーワードはある程度共通している。

 

消費者の胃袋の量は決まっているので

他社よりも魅力的なお店や売り場にしなければお客さんが来てくれず

当然のことながら売上が下がっていってしまう。

 

 

リンクアンドシェアという会社は

この根本は「差別化」で共通しているが、それでいてバラバラのニーズに

応えていく企業体でなければならないし、

クラウドフードというサービスは

このそれぞれに違うニーズや問題点を解決するサービスでなければならない。

 

そうやって「そもそも」「そもそも」と言いながら

買い手や製造工場や問屋のことを掘り下げながら考えた上で

「これならどうだ!」というアイディアでクラウドフードを2月と3月に

2段階で完全リニューアルする予定で進めている。

 

久しぶりに「そもそも君」のことを思い出して、

ある記憶も蘇ってきた。

 

「中間くん、僕この前初めてパチンコ屋さんに行ったんだよ。

 それで数字が揃って、玉が出たんだけどどうしたらいいか分からなくて

 みんながやっているように球を受付に持っていたらこんな物をもらったんだけど」

 

彼は、いきなり僕に話しかけてきて鞄の中からプラスチックケースに入った

金のボールペンを3本出してきた。

 

「それでこのケースを開けようと思うんだけど開かなくてさ、

 どうやったら開くか知ってる?」と聞いてきた。

 

当時埼玉県のパチンコ屋さんは、お金と引き換える景品がボールペンで

景品交換所の存在を知らない「そもそも君」はそれをボールペンとして

使用しようとしていたのだ。

 

「だめだめ!開けちゃダメ!」

 

と言ってから彼を景品交換所に連れて行ってあげて換金をしてあげた。

 

あの真面目な「そもそも君」がパチンコをやったということに驚いたし、

何だか金のボールペンのケースを強引に開けようとしていたのもおかしかった。

 

 

学生時代からあれだけ「そもそも」の癖がついていた彼は

もしかしたらとてもスゴイ事業を成し遂げているんじゃないだろうか?

と妄想してみる。

 

本名を覚えていないので、再び会うこともないと思うが、

このタイミングで是非リンクアンドシェアに入社してもらって

二人で「そもそも」「そもそも」と言い合ってみたいものだ。

 

そして、面接の時には是非聞いてみたい。

 

「そもそもさぁ、なんであの時パチンコなんかやったの?」

 

彼は冷たく言うだろう。

 

 「そもそもそんな昔のこと答える必要ある?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

食品業界に棲む日々

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はじめまして。

株式会社リンクアンドシェアの代表の中間です。

 

僕らは食品業界、その中でも食品BtoB業界に関わっている企業です。

 

「食品業界は日本人の食生活を担っている!」

という誇りを持っている訳ですが、

こんなに大事な事業なのになかなかにみんなが儲かっていない業界でもあり、

問題が山積みされている業界でもあります。

 

僕がこの業界に入ったのは13年前の29歳の時。

 

とにかく驚きの連続だったのを覚えています。

 

結婚した奥さんの実家が食品原材料問屋を営んでいて、

結婚と転職と二世帯住宅を建てるという人生の大切なイベントを1年でこなし、

「あとはお葬式くらいしか大きなイベントないっすね」などと当時言っていました。

 

全く違う業界にいたので驚きの連続。

まず業界用語が分からない。。。

 

「じゃあ、チョーアイどうします?」

(チョーアイ?ちょーあい? 何言ってるか分からん。。。)

「チョーアイについては検討しておきます」

(とりあえず後から調べよう。メモメモ)

 

チョーアイ=帳合という漢字で、簡単に言うと仕入れる卸問屋のことを言うのですが、それすら分からない状態からの全く華々しくないスタートを切りました。

 

奥さんの会社は、社員が10人くらいいました。

当時社内にパソコンは2台だけ。

 

見積書やサンプル依頼は全て手書き。

メールは少しずつ使われ始めていたもののほとんどの連絡は電話かFAXでした。

 

「中間さん、取引先の人がメールで送るとか言ってるんですけど。。。」

「送ってもらったらいいやん。どしたん?」

「僕インターネットとか使えないんですけど。。。」

「メールのことインターネットとか言うなよ!笑」

というスタッフとの不毛で不安な会話。

 

カツオエキスやゆずパウダーなどの原材料を製造工場に販売する仕事だったのですが、原材料メーカーから工場までにたどり着くのに帳合が3社とか入っていると非効率の無限地獄。

 

 

「24日に納品してもらいたいんです」

「24日は無理ですね」

「じゃあ、25日はどうですか?」

「25日も無理ですね」

「26日なら調整すればいけるかもしれません」

「では調整お願いします」

「確定したら連絡しますね」

 

みたいな会話を工場と原材料メーカーと問屋の合わせて5人が

「バケツリレー&往復ビンタの数珠つなぎの伝言ゲーム」を何度も繰り返し、

終わる頃にはもう夕方。

 

「いやあ、今日も仕事したな!」

「よし、飲みにでも行くか?」

「いいっすねえ」

 

出来てないから!

全然良くないから!!

無駄しかないから!!!

 

最初は何だか呆然としていたのですが、フト思ったのです。

 

これすごいチャンスなんじゃないか?

自社を効率化してお客さんに価値を提供できれば勝てるんじゃないか?

 

それからは、食品業界を眺めて他のライバル問屋を研究しながら

誰もやっていない領域の事業や方法を試行錯誤していきました。

 

オリジナル食品の企画開発、WEBの活用、日本の食品原材料の社内DB作りなど

やればやるほど他社との差別化ができて事業が伸びていくのがとても面白かった。

 

事業を進めていく中で、通販会社やスーパーや給食や外食チェーンのバイヤーと

企画をすることが多くなっていて、もう捌ききれないくらいの沢山の仕事を

もらえるようになっていました。

 

当時の僕らのバリューは

「部品である食品原材料のデータベースを持っていること」

「それを組み立てる製造工場に数千社アクセスできること」

「それらをつなげて企画・開発・コーディネートができること」

でした。

 

東京や大阪の買い手企業は差別化を図るために

企画やパートナーになる工場を探している。

 

一方で

製造工場に行くと「仕事がない」と言っている。

 

双方にマッチングするニーズが存在しているのに

うまくいっていないという明確な問題点がありました。

 

10年くらい経ったある日、ある出来事をきっかけに

「食品業界自体を変えてみたいなあ」

「何とか出来るんじゃないか」

「やるとしたら僕しかいないのではないか」

と考え始め、やがてそれが止まらなくなり、頭の中はそのことで一杯に。

 

熱病のようにそれに取り憑かれて、

気がつけば奥さんの実家の会社を退職し独立していました。

 

今もその熱病はますます進行していて、

大阪に家族を残して製造工場が多いという意味で

重点地域である九州にアクセスしやすいように

福岡のオフィスに人を増やしながら住んでいます。

 

東京に多い買い手企業。

地方に多い製造工場と生産者。

 

この先、東京、大阪、北陸、東北、北海道、海外。。。

どこに住むかは分かりませんが、食品業界を終の住処に決めて

頑張っていこうと思います。

 

という訳でブログ名は「食品業界に棲む日々」です。

 

皆様どうぞよろしくお願いします。